オリンピックとメディアの恐ろしさ
アメリカの体操選手シモン選手のことからメンタルについて色々考えています。そしてオリンピックという最大の活躍の場でのメディアについても思うことがたくさん。私ごときが発言しても意味はないのかもしれませんが、息子がオリンピック目指すアスリートなのもあり、メディアの扱いにはつい敏感です。
オリンピックがあまり人気のないアメリカでは、テレビでなんとか興味を引くためにドラマを好みます。今回シモン選手が辞退したことで、一気に第一人者になったのが、スニ・リー選手。本名はスニスですが、彼女は通称スニです。テレビ局のNBCは、オリンピックに向けて、なるべくドラマになるような映像をたくさん準備していると思いますが、スニ選手については、アメリカのテレビで絵になる話題が盛り沢山。
スニ選手、アメリカ体操界では珍しくミネソタ出身。オリンピック選手の多くは、有名クラブがあるカリフォルニアやテキサスが多いのです。ミネソタや、今回水泳で金をとった17歳のリディア選手が出身のアラスカなど、珍しいのでそれだけで話題になります。さらにスニ選手は、アジア系アメリカ人ですが、中国系や韓国系ではなく、Hmong、モン族です。ここで少数民族出身の移民家族が頑張って娘をサポートして金メダルまで上り詰めたとドラマになるのですが、スニ選手は更にお父さんは2年前に事故で半身不随になってしまい車椅子。それは本当の話だし、彼女は素晴らしい選手。家族もほほえましい。じゃあ何?となると思いますが、私が感じるのはメディアの操作の恐ろしさです。
この映像で、スニ選手は、一気にスーパースター。いろんなドラマを乗り越えての金メダル。帰国したらもう好感度100%アップのスターになること間違いなし。彼女は当然そうなって当たりませですし、それに不満はありませんが、別の目で見てしまう自分がいます。
これまで有名になった選手の中で、メディアに叩かれたため好感度が下がり、金メダルとっても悪者扱いになった選手も実はたくさんいます。その代表が、スケート選手、シャニー・デイビスです。シャニーは、オリンピックに5回代表として選ばれ(そのうち一回は補欠)、メダルを4個とっています。それでも現役中はメディアに叩かれ、引退した今はほぼテレビに出ることはありません。
一方、同じスケートだけどショートトラックのアポロオノ選手は、日系移民のシングルファーザーに育てられ、好感度100%で、引退した今もたびたびテレビに出ます。
この二人の違いは、現役中アポロはとにかくドラマチックに取り上げられ、好感度アップ。シャニーは、なぜか悪者扱い、チームプレーヤーではないと批判にさらされて、性格が悪いという判を押されました。もちろんシャニー自身に1%も責任がないわけではありませんし、失言がいくつかあったのも事実。でもそれを持ってしても、彼は相当の悪者扱いされてきています。
スケート界は狭いので、ここ数年で私はシャニーと知り合い、初めは、恐れ多くて、緊張したのですが、今じゃあ普通に会話。友達と言えるレベルまでの知り合いになりました。そこでショックを受けたのは、シャニーは、メディアの印象とは全然違うのです。ものすごくいい人。どんな時でも写真を撮ることに嫌な顔しないし、あれだけのメダリストなのに奢った態度は一つもなく。逆に子供っぽいせいか、子供のような素直さがあります。メディアで言われているような嫌な態度は目にしたことがありません。
これがメディアの影響なんだなあとシャニーを見ていると思うのです。
オリンピックは、夢を与えてくれるし、感動をもたらす。そのためにメディアがあえてドラマを作るのも理解はできるのですが、実際の選手たちはメディアによって持ち上げられたり、下げられたりとメンタルが崩れてしまう。
それを気づかせてくれたシモン選手や、マイケルフェルプス選手の勇気に私はありがたいと感謝の気持ちです。
オリンピックまだまだ続きますので、応援していきたいと思います。
そして朝、夕の散歩で自分のメンタルチェックは欠かしていません。
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