アメリカでの老後

先週末、 ちょうど私の親しい友人が、今週母親の引っ越しを強行するということで話を聞いていました。

友人はほぼ同じ世代で、母親もうちの親と同世代です。両親は、リタイア後、州外のちょっと暖かい田舎に住んでいました。数年前に父親が亡くなり、それから母親は一人暮らし。

彼のお母様は認知症が始まっていて、最近転び、倒れていたのを近所の人が発見。もう一人暮らしは無理と判断されました。州外では、何かあった時に駆けつけることもできないので、本人の許可がないけど引っ越しさせるそうです。アシスタントリビングというアパート形式のシニア向けホーム。ある程度のサポートもつきますが、決して医療機関ではないので、いわゆる独立型。シニアが集まるアパートで緊急の時は救急車呼んでもらえる程度のものです。

その金額についての話を聞いて、ますますアメリカ無理と思ってしまいました。


その費用は、年間で8万ドル。日本円に換算したくもないですが、軽く一千万円を超える金額です。

健康保険は一切聞きません。これがもし認知症がひどくなり、完全に一人では無理になった場合は、提携のナーシングホームに移り、そこは10万ドルだそうです。

ナーシングホームがこの位するのは、私も長年アメリカにいて、友人からこういった親の介護問題もよく聞くので、驚きません。

ただその金額をいざ出せと言われてどのくらいの人が出せるのか。

アメリカの年金の平均受給金額は月に$1976 だそうです。年間$23,712。ナーシングホームには数ヶ月でそこをついてしまう。

ほとんどの人が、親の家を売って、その資金から。もし家がなければ貯金。じゃあ貯金もなければ?

この国には、日本の特養のような公共の老人ホームなんてありません。

じゃあ保険は?健康保険はナーシングホーム、いわゆるLong Term Care Facility入居は適用外です。

健康保険は適用外ですが、自分で入ろうと思えば入れるLong Term Care Insuranceというものがあります。介護保険みたいなものですが、国のシステムでもなく、普通に保険会社が提供しているもの。将来のナーシングホーム代を払う保険ですが、プライベート保険ですから、決してお安くはありませんし、上限も決められています。しかも保険料は毎年上がります。

こちらにLong Term Care Insuranceの平均の金額が出ています。

この保険、私も40代の時に一時入っていました。当時こういった保険はまだ新しくて、金融業界ではみんな入るべきみたいな風潮でした。独り身の私は将来誰にも迷惑はかけられないしと考えたのでした。

でも、やっぱり保険料が高いのと、将来の上限額を考えても割に合わないと考え、さらに私の場合は、アメリカで老後を向かえるのか?という基本的な疑問が常にあったので、数年だけ試しに入りましたがその後解約しました。今は入っていません。

アメリカ全体を見ても、Long Term Care Insuranceは結局あまり普及していないようです。少しでもお金に余裕がある人たちは、自分で貯金、投資に励む方が、タックスの効果も得られるし、保険はあまり信用されていないというアメリカのお国柄もあるのかもしれません。

私の周りの友人たちは、年齢がら軒並みみんな親の介護問題に直面しています。

アメリカは広いので、たとえ同じ州でも、車で数時間運転して毎週介護に通ったり。朝4時起きして出勤前に様子を伺いに行ったり。

大変なのはどの国も同じですが、アメリカはそこにバカ高い医療、全てが自己責任、そして誰が払えるのかとツッコミどころ満載のナーシングホーム問題。

この国はやっぱり無理かもと今日も考えています。

さて、連日寒くてお散歩にも出ていないので、たまにはオフィスの写真。

この素敵なキッチンで毎日無料の朝ごはんとランチが提供されます。仕事だけは相変わらず非常に恵まれていて感謝しかありません。







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