アメリカでの高校卒業の道 (2)

 前回からの続き。

残念ながら普通に高校卒業ができなかった19歳の次男。

このことは、コロナの時から四年間、ずっと私の悩みでした。何度も何度も自分の選択に後悔して、次男ともぶつかり、苦しみました。その度に、本当に辛いのは次男と自分に言い聞かせ、できる限りのサポートをしてきました。相談させて頂いた私の友達の中には、私の甘やかしすぎを指摘する人ももちろんいました。それは私が一番よくわかってきます。ひとり親で、ついつい下の子には甘くしていたのは事実です。

スケートのシーズンは3月で終わり。ジュニア最後の大会も終わり、区切りもいいことから、絶対に高校卒業することを1月くらいから言い続けてきました。3月になっても行動を起こさない次男に対し、一緒に地元のコミュニティーカレッジのカウンセラーに予約することで同意してくれました。そこからは前回に書いた通り。あっという間に全てが進み、次男は無事にGED、高校認定試験の準備クラスに入りました。

そこでもまた初日に模擬テストがあり、幸い次男の成績はよく、すぐにGEDテストを受けてもいいと先生に言ってもらったようで、本人やる気が出てきています。3年もきちんとした学校に行っていなかったのに、こうして学力も落ちていなくて、ちゃんと大学にもこのまま行けそうで感謝しかありません。

関心したのは、アメリカは、高校卒業には色んな道があるということ。

次男は、診断テストの結果が良かったので、カウンセラーに勧められたテスト準備のクラスだけになりましたが、その他にも、この同じコミュニティーカレッジにはいくつかの選択があります。

一番基礎のレベルがAdult High School。毎日普通に学校に通って、高校のクレジットを取得して卒業。大人が通う高校です。しっかりクラスを受けるので、単位が取れていない次男がこれだと2年かかると言われました。

その上がHESD。日本語訳が見つかりませんが、クラスに通って、高校の勉強をして、学力テストを受けると晴れて高校卒業資格が取れます。Adult High Schoolほど、しっかりクラスを受けることはなくて、学力診断テストレベルによって、どのくらいのクラスが必要か決まります。さらに上のレベルに入れると、お金はかかりますが、同時にカレッジレベルのクレジットを取れる場合もあるらしい。次男がこれだとテスト次第だけど、卒業まで一年未満、早くて半年と言われました。

そして最後が直接GEDを受ける道。

誰でもGEDは受けられますが、受けて必ず受かるものでもないので、GEDテストクラスを受けます。あとは州によりますが、私たちの州は、GEDの心構えみたいな一日講習会みたいなのが必須です。

全てのオプションが地域の住民は無料でコミュニティカレッジで受けられます。

カレッジなので、高校卒業資格が取れたら、すぐに同じキャンパスで、そのまま大学の授業が取れるのも魅力です。

そしてアダルトハイスクールの入学も、時期は決まっていなくて、希望すればいつでもできるし、GEDのテストも通年で、色んな場所で開催されています。だからうちも面談からわずか2週間後には最初のクラスということになりました。心の準備が整わないまま、どんどん話が進んでいきました。今は、まだ本当に次男が高校卒業できるのかと不安になったりしてしまいます。

そんな私の不安はよそに、次男は、テストの準備は数週間で済みそうです。GEDは4科目あるので、少しづつ受けたとしても、もしかしたら4月か5月中には全部終わって、晴れて高校卒業認定がもらえるかもしれません。GEDのテスト会場は、各地にあり、もちろんこのカレッジでも受けられますが、他の場所でもオッケー。テストの日程もいつでもあるようで、すぐに受けようと思えば受けられるから、次のクラスで先生が一緒に登録の手伝いをして即テストを受けるようです。

高校卒業できなかった大人は、アメリカはたくさんいます。

移民が多いのが一番の理由ですが、その他にも貧困や、親の世話を子供がしていたり、本当にさまざまな理由でやってきます。そういう人たちにチャンスを分け隔てなく与えるプログラムがたくさん。教育には差別がなく、誰でも受け入れるというアメリカの懐の深さを感じます。

お金がない人たちのために、カフェテリアの補助や、無料で配布される食料のプログラムもカレッジ内にあリます。

このカレッジは、公立なので、税金なわけですが、こういう税金の使われ方をされているのなら、どうぞ税金は取ってくださいと言いたくなるくらい、感動しました。

GEDのクラスは、準備にうけたテストも含め、色んな大人が来ています。次男の話ですが、周りは、移民や、基本の教育も受けていなくて驚くほどのレベルのようです。そんな環境に入って、次男は初めて自分のいる位置が見えたのかもしれません。テストの成績が良かったからか、先生には特別扱いしてもらっている様子で、本人なんか嬉しそう。普段はあまり会話してくれない19歳ですが、今後の大学への話も最近は話を頻繁にするようになりました。

ここまで悩みの連続でしたが、人生の経験としては次男には良かったのかも。

ということで、高校卒業への道まだ続きます。

お天気もようやく春らしくなってきました。




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